確率で読み解く凱旋門賞

雑談

2025年の凱旋門賞が10月5日に開催されました。キズナ、マカヒキ、ドウデュースに続く日本ダービー馬クロワデュノールの同年挑戦で話題となりましたが、今年も日本馬は勝てませんでした。

凱旋門賞に1回も日本馬が勝てないのはおかしい、との直感なのですが、本当にそうなのか、ということについて考えました。

今回は、凱旋門賞とジャパンカップの出走データから、「日本馬が勝てないのはおかしいのか?」を確率の視点で見てみます。y


凱旋門賞:日本馬の挑戦と“偏り”

以下は過去15年の凱旋門賞の出走頭数です。

出走馬数欧州馬非欧州馬非欧州馬の内訳
201116142JPN:2
201218171JPN:1
201317152JPN:2
201420173JPN:3
201517170
201616151JPN:1
201718162JPN:2
201819190
20191293JPN:3
202011110
202114122JPN:2
202220164JPN:4
202315141JPN:1
202416151JPN:1
202517143JPN:3

そして非ヨーロッパ馬が勝った例は、この15年間でゼロ。
ヨーロッパ馬以外での出走馬はアメリカや中東、香港、オーストラリアは存在せずにすべて日本馬です。
そして、15年に限らず何度も挑戦してきたものの未勝利です。


ジャパンカップ:こちらも同じ現象

一方、日本で行われるジャパンカップでは、次のようになります。

出走馬数日本馬非日本馬
201018108
201116124
201217125
201317143
201418153
201518144
201617143
201717134
201814122
201915150
202015141
202118153
202218144
202318171
202414113

こちらの結果も、非日本馬が勝ったケースはここ15年でゼロ。


📊 確率から見た「おかしさ」

各年の非地元馬(非ヨーロッパ/非日本)の出走割合を基準に考えると、
凱旋門賞では2011〜2025年の15年間で
非ヨーロッパ馬は計25頭(全246頭中、約10.2%)出走しています。

仮に「その年の出走割合=勝つ確率」とすると、
15年連続で勝てない確率は: (1−0.102)15≒0.20(1 – 0.102)^{15} ≒ 0.20(1−0.102)15≒0.20

つまり、20%の確率で起こりうる
統計的には「おかしい」とまでは言えません(有意水準5%を下回らない)。
実際ジャパンカップでも同じ結果になっています。


🧠 それでも“おかしく”感じる理由

人間は「偶然の不自然さ」に敏感です。
心理学ではこれを代表性ヒューリスティックと呼ぶそうです。

「これだけ挑戦しても日本馬が勝てないなんておかしい」と感じるのは、
確率的にはありうる範囲でも、“らしさ”の期待に反しているから。

実際、人はおおよそ確率5〜10%を下回ると“偶然ではない”と感じる傾向があり(Tversky & Kahneman, 1971/Falk & Konold, 1997)、
今回の20%は統計的には普通でも、感情的には納得しにくいラインにあります。

この理由の一つは、さかのぼるとジャパンカップは外国馬が勝った歴史があるから、ということがあります。


🧩 結論:感情が先走っている

  • 統計的には「非日本馬が勝たない」は ありうる確率範囲(約20%)
  • しかし、ジャパンカップでは外国馬が実際に勝ってきた歴史があるのに、凱旋門賞では一度もない
  • 同じ「地元優勢」構図でも、一度も凱旋門賞は突破できていないという事実が“おかしく感じる”理由になる

ここ15年で、かつ出走頭数だけというシンプルな構図で考えましたが感情が勝ちすぎ、ということに至りました。
15年に絞った理由は意図的でもなんでもなく、本当の一流馬しか挑戦のサンプルがなかったからです。

。。。と考えましたが、野暮でした。好きな馬が出走したらこれからも100%勝ってほしい、という気持ちで応援し続けます。

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