2025/11/11、Microsoft から .NET 10 が正式にリリースされました。
今回は長期サポート(LTS)にあたるバージョンで、業務システムの現場では注目される更新です。
とはいえ、そもそも 「.NET って何?」 という疑問に立ち返ると、
「C# のこと?」「Windows アプリを作る仕組み?」
といったように、どこかぼんやりした理解になっていることも少なくありません。
この記事では、最新バージョンの詳細に踏み込む前に、
まず “.NET とは何か” を整理します。
■ .NET とは、アプリを作るための “統合開発プラットフォーム”
.NET(ドットネット)とは、アプリ開発に必要な基盤をまとめて提供する Microsoft の開発プラットフォームです。
言い換えると、アプリを作るための 道具箱+部品+工場ラインのセット のような存在です。
具体的には次が含まれます。
- プログラミング言語(C#, F#, VB.NET など)
- ランタイム(プログラムを動かすエンジン)
- 標準ライブラリ(API)
- 開発ツール(Visual Studio、
dotnetコマンド など)
アプリ開発に必要な要素を一式そろえ、
どこでも同じように実行できるようにするのが .NET の役割です。
■ .NET で作れるものは思っている以上に広い
.NET は単なる Windows アプリの仕組みではありません。
実際には、次のような幅広い種類のアプリが作れます。
● Web アプリ → ASP.NET Core
業務システム、API サーバー、社内ポータル など
● デスクトップアプリ → WPF / WinForms / MAUI
管理ツール、データ入力ツール
● モバイルアプリ → .NET MAUI
iOS / Android 両対応
● クラウドサービス → Azure Functions
サーバーレス、夜間バッチ処理
● ゲームエンジン → Unity
Unity のスクリプト言語は C#
同じ C# / .NET の知識で、多種類のアプリを横断的に作れるのが大きな特徴です。
■ 歴史:.NET Framework から現在の .NET へ
.NET の歴史は大きく以下の流れです。
- .NET Framework(2002〜)
Windows 限定の時代 - .NET Core(2016〜)
Linux / macOS / Docker 対応へ - .NET 5 以降(2020〜)
Framework と Core を統合し、現在の “.NET” へ
今使われている .NET は
Windows / Linux / macOS / クラウド どれでも動くクロスプラットフォーム環境です。
■ なぜ Windows Server / AD / SQL Server と相性が良いのか?
“Microsoft 製品同士”というだけでなく、実務上の具体的メリットがあります。
- AD(Active Directory)認証と自然に統合できる(SSO など)
- SQL Server 用に最適化された純正ドライバが使える
- Windows サービスの作成が非常に簡単
- PowerShell・Windows API との連携が強力
- IIS 上での運用との親和性が高い
- Microsoft のサポート対象として安心して構築できる
特に企業内・官公庁のシステムでは、
Windows 基盤(AD、ファイルサーバー、SQL Server)を前提にした開発が多いため、.NET は最も自然に動く選択肢です。
■ まとめ
- .NET は アプリ開発のための統合プラットフォーム
- 言語・ランタイム・ライブラリ・ツールが一式そろっている
- Web / デスクトップ / モバイル / クラウド / ゲームなど幅広く対応
- Windows Server・AD・SQL Server と特に親和性が高い
- .NET Framework から Core を経て、現在のクロスプラットフォームな .NET へ進化してきた


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