はじめに
最近、婚姻届の証人として署名を依頼されました。
人生の節目に立ち会える貴重な経験でしたが、ふと「証人ってどういう役割なんだろう?」と気になりました。
本記事では、婚姻届における証人の仕組み、歴史的な背景、そして諸外国の事例についてまとめます。
証人の仕組み
婚姻届には、必ず2名の証人の署名と押印が必要です。
証人は以下の条件を満たす必要があります。
- 成人(20歳以上)であること
- 親族でも友人でも可
- 日本国籍に限らず外国籍でも可
証人欄には「氏名・住所・生年月日・押印」を記載します。
FAQ
Q. 証人は親でなければいけないの?
A. いいえ。成人であれば友人や職場の同僚でも構いません。
Q. 証人が同じ人2名でもいいの?
A. だめです。2名はそれぞれ別の人でなければなりません。
Q. 証人がいないときは?
A. 基本的には親族や友人に依頼します。どうしても難しい場合は、役所の職員に相談すれば証人になってくれることもあります。
Q. 虚偽の記載をしたらどうなる?
A. 婚姻届は無効扱いとなり、場合によっては「公正証書原本不実記載罪」に問われる可能性もあります。
証人が求められる理由・歴史
証人制度が導入されたのは、明治31年(1898年)の民法・戸籍法施行時です。
背景には次のような理由がありました。
- 本人の婚姻意思を確認するため
当時は家制度の影響が強く、結婚は家同士の取り決めになることもありました。
本人の自由意思を守るために第三者の証人が必要とされたのです。 - 公的記録の信頼性を確保するため
戸籍に婚姻を記載するには、確かな裏付けが必要でした。 - 不正防止のため
勝手に婚姻届を出されるようなケースを防ぐ狙いもありました。
戦後、家制度は廃止されましたが、証人制度は「形式的要件」として現在も残っています。
諸外国での証人の運用状況
証人の位置づけは国によって大きく異なります。
- アメリカ
多くの州で挙式時に2人の証人が署名します。婚姻届というより「結婚許可証(Marriage License)」に署名する形です。 - イギリス
教会婚・役所婚いずれでも2人の証人が署名。婚姻証明書に記録として残ります。 - フランス
市庁舎での民事婚で証人2〜4名が必須。結婚は公的契約という考えが強いため、証人の役割も重視されています。 - ドイツ
かつては必要でしたが、1998年に証人制度は廃止。現在は婚姻登記官の前で意思を確認するだけです。 - 韓国
日本と同様に婚姻届に証人2人が署名する制度が残っています。これは日本の戸籍制度の影響を受けたものです。
まとめ
婚姻届における証人は、形式的要件であると同時に、歴史的には本人の意思確認や不正防止を目的として導入された制度です。
現代では本人確認書類が整備されているため、証人の役割は形式的なものに近づいていますが、それでも結婚の場に「名前を残す」ことは大きな意味を持ちます。
とても貴重な経験をさせていただいたことに感謝し、自らを律しようと気が引き締まりました。
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