Microsoft 365 を導入するとき、「Business Standard にするか Premium にするか」で悩む方は多いと思います。
結論から言うと 小規模組織や“私用 PC をある程度許容する”方針なら Standard で十分。
一方で 業界や顧客からセキュリティ要件を突きつけられる環境では Premium が役立ちます。
共通してできること
両プランとも基本は同じです。
- Word / Excel / PowerPoint / Outlook などの Office アプリ(PC・スマホ・Web)
- Exchange Online(メール)
- Teams(チャット・会議)
- OneDrive(1TB のクラウドストレージ)
- SharePoint(ファイル共有・社内ポータル)
つまり「仕事で必要なツールを一通り揃えたい」なら Standard で十分です。
違いのざっくり比較
機能 | Standard | Premium |
---|---|---|
Office / Teams / OneDrive 等 | ✅ | ✅ |
多要素認証(MFA) | ✅ 一律ON/OFF | ✅ 条件付き(場所・端末ごと制御) |
条件付きアクセス(IP/場所指定) | ❌ | ✅ |
デバイス管理(Intune) | ❌ | ✅ |
セキュリティ強化 (Defender for Business) | ❌ | ✅ |
セルフパスワードリセット(SSPR) | 管理者のみ | 全ユーザー |
月額(年契約/1ユーザー) | 約1,874円 | 約3,298円 |
Standard で十分なケース
- 社員数が少ない(〜10人程度)
- 扱うアプリは Office とメールくらい
- 会社の PC からしかアクセスしない
- 顧客や業界から「セキュリティ基準を満たせ」と言われていない
→ コスト重視なら Standard で OK!
Premium が向いているケース
- 社員が増えてアプリやデバイスの管理が煩雑
- テレワーク・外出先からのアクセスが多い
- 「社外からのアクセスは MFA 必須」など柔軟にルールを作りたい
- パスワード忘れが頻発していて、ユーザー自身でリセットできる仕組みが欲しい
- 取引先や顧客からセキュリティ水準を求められている
→ 管理やセキュリティをガッチリ固めたいなら Premium!
私用 PC 利用との兼ね合い
「Premium = 私用 PC 禁止」ではありません。実際は以下のように調整可能です。
- MFA 必須ルール
→ 社外や管理されていない端末からアクセスする場合は MFA を必須にする。 - Web アクセス限定
→ 私用 PC では Outlook Web や Teams Web のみ利用可にして、ファイルはダウンロードさせない。 - 最低限のセキュリティチェック
→ Defender で「ウイルス対策が有効」「暗号化済み」など条件を満たす端末のみ許可する。
👉 つまり Premium は「私用 PC を禁止する」のではなく、“私用 PC をどう扱うかを決められる”柔軟さを持っています。
Premium が活きる業界事例
不動産業(大和財託株式会社)
- 顧客から「セキュリティ対策を可視化してほしい」と要望
- Premium で Intune による端末管理と条件付きアクセスを導入
→ 顧客の安心感につながる仕組みを実現
医療・物流(スタートライン社)
- 機密情報を扱うため、セキュリティ必須
- Premium でゼロトラスト環境を整備し、私用端末やテレワークでも安全に利用可能
→ BYOD を許容しつつリスクを最小化
自動車部品業界(ケーテック株式会社)
- 業界のセキュリティガイドラインに対応する必要あり
- Premium で 50 項目にわたる要件を満たす
→ 業界基準を満たすため Premium は必須
まとめ
- Standard:小規模組織・コスト重視・私用 PC を自由に使わせたい環境
- Premium:セキュリティ要件が厳しい業界、顧客からの信頼が重要、私用 PC も「条件付きで安全に使いたい」環境
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